
ICの仕様書で『CMOSレベル』という用語がよく出てくる。
どんな意味なんだろう?
こんな疑問を解消します。
『CMOSレベル』とは、P-ch/N-ch MOSFETで構成されたCMOSを用いたICの『入出力閾値電圧』です。
多くのICがCMOSで構成されているため、電子回路設計者ならCMOSレベルは必ず覚える必要があります。
そこで今回は、『CMOSレベル』について解説していきます!
・ デジタル回路の『CMOSレベル』
・ 異なる電源電圧のCMOS-IC間の入出力
・ まとめ
CMOSとは
CMOSとは、『P-ch/N-ch MOSFETを相補的に組み合せたデジタル回路の一種』であり、コンピュータをはじめとした様々な電子機器で使用されています。
・電源は3V ~ 16V
・電源が『Vdd』と定義される
・ノイズに強い
・消費電力が小さい(発熱が小さい)
とりあえず、以上の特徴を頭に入れておきましょう。

続いて、『CMOSレベル』について説明していきます。
デジタル回路の『CMOSレベル』
『CMOSレベル』とは、CMOSが動作する信号レベルのことを意味します。
以下に、デジタル回路で『0』と『1』の2つの状態をどのように判断するか示します。
“0”と認識する電圧範囲 | “1”と認識する電圧範囲 | |
入力電圧 | 0 ~ 0.30 × Vdd | 0.70 × Vdd ~ Vdd |
出力電圧 | 0 ~ 0.15 × Vdd | 0.85 × Vdd ~ Vdd |
以上のように、CMOS ICは『入出力の電圧レベルと論理が電源電圧によって変わる』ため、CMOS IC間で信号をやり取りする際は、電圧変換が必要な場合もあります。

続いて、電源電圧が異なるCMOS-IC間で信号をやり取りする際の問題例を説明します。
異なる電源電圧のCMOS-IC間の入出力
上図のように、3V電源ICから5V電源ICにHi信号を送信しようとする場合を考えてみましょう。
残念ながら、3V × 0.85 = 2.55V < 5V × 0.70 = 3.5Vであるため、閾値電圧を満たせません。

このように、電源電圧が異なると、正常に入出力判定できないことがあります。
それに対して、TTLなら電源電圧が異なっていても、正常に入出力判定で可能です。
TTLについては、以下の記事で紹介してるため、ぜひご覧ください。
関連記事 【初心者向け】TTLの「意味」や「レベル」について解説します!
CMOSレベルまとめ
いかがでしたでしょうか。
電子回路を扱う上で『CMOSレベル』は必須の知識です。
CMOSレベルについて、しっかりと理解しておきましょう。
この記事が、皆様のお役に立てば幸いです。
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