AW設計をする上で、銅箔の抵抗を考慮する必要があるらしい。
銅箔の抵抗って何で決まる?
こんな疑問を解消します。
プリント基板上の銅箔(パターン)は『厚み・幅・長さ』によって抵抗値が変化します。
電流が流れると、銅箔抵抗によって電圧降下が発生するため、無視できません。
そこで今回は、『銅箔(パターン)の抵抗』について解説していきます!
・ 銅箔の抵抗値を求める公式
・ 銅箔の抵抗値算出例
・ 銅箔幅を太くするデメリット
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導体の抵抗値を求める公式
導体の抵抗値は、下記の公式より求めることができます。
【導体の抵抗値を求める公式】
\begin{eqnarray}
R[Ω] &=& ρ[Ω・m]・\frac{L[m]}{S[m^2]} \\
\\
&=& ρ[Ω・m]・\frac{L[m]}{W[m]・T[m]}
\end{eqnarray}
\(ρ \):導体の抵抗率
\(L \):導体の長さ
\(S \):導体の断面積
\(W \):導体の幅
\(T \):導体の厚み
上記公式とセットで、以下のことを覚えておきましょう。
・導体長さが大きいほど、抵抗は大きい
・導体幅が大きいほど、抵抗は小さい
・導体厚みが大きいほど、抵抗は小さい
これだけ覚えておけば、とりあえずオッケーです。
では続いて、銅箔抵抗の公式を見ていきましょう。
銅箔の抵抗値を求める公式
銅箔の抵抗値は、先程の公式に『銅の抵抗率』を代入して求めることができます。
銅の抵抗率を\(1.68 ・ 10^{−8} [Ω・m] \)(0℃の場合)とすると、
【銅箔の抵抗値を求める公式】
\begin{eqnarray}
R &=& (1.68 ・ 10^{−8} )・\frac{L}{S} \\
\\
&=& (1.68 ・ 10^{−8} )・\frac{L}{W・T}
\end{eqnarray}
\(L \):銅箔の長さ
\(S \):銅箔の断面積
\(W \):銅箔の幅
\(T \):銅箔の厚み
具体的な数値を入れてみて、イメージしやすくしましょう。
銅箔の抵抗値算出例
上図の場合、銅箔の抵抗値は下記のように算出できます。
【銅箔の抵抗値算出例】
\begin{eqnarray}
R &=& ρ ・\frac{L}{W・T} \\
\\
&=& (1.68 ・ 10^{−8} )・\frac{10 ・ 10^{−3}}{10^{−3}・(35 ・ 10^{−6})} \\
\\
&=& 4.8 [mΩ]
\end{eqnarray}
銅箔の抵抗率:\(1.68 ・ 10^{−8} [Ω・m]\)
銅箔の長さ:\( 10 [mm] \)
銅箔の幅:\( 1 [mm] \)
銅箔の厚み:\( 35 [μm] \):
実際に計算してみると、抵抗値の大きさに対するイメージが沸きますね。
銅箔幅を太くするデメリット
銅箔幅を太くすれば、抵抗値が小さくなるため、電圧降下も小さくなるはずだよね。
とりあえず太くしておけば良いの?
残念ながら、とりあえず太くしておけば良いということはありません。
銅箔幅を太くすると、以下のデメリットがあります。
1. プリント基板上の銅箔占有面積が増えるため、配置できる素子が少なくなる。
2. 銅箔同士の距離が近くなるため、クロストークが発生しやすくなる。
近年、『電子機器の小型化に伴い、基板サイズも小さくなっている』ため、銅箔に面積を取られるのは大きなデメリットです。
クロストークについては、以下の記事で紹介しているため、是非ご覧下さい。
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銅箔の抵抗まとめ
いかがでしたでしょうか。
回路設計者であれば、『銅箔(パターン)の抵抗は必ず知っておくべき知識』です。
銅箔の抵抗についてしっかりと理解しましょう。
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