
電子回路で『GND浮き』という用語がよく出てくる。
どんな意味なんだろう?
こんな疑問を解消します。
GND浮きとは、『GND電位が0Vでなくなること』を意味します。
グランド電位が0Vでなくなるとは、『グランド電位より高くなること』『グランド電位より低くなること』の両方を指します。
そこで今回は、『GND浮きの意味・仕組み』について解説していきます!
・ 自動車における電子回路のGND
・ GND浮きの仕組み
・車体ボディー間のGND浮き
・ まとめ
GND浮きとは
GND浮きとは、『GND電位が0Vからズレてしまうこと』であり、自動車の電気回路では必ず考慮されています。
本来、GND電位は0Vですが、電位が上下してしまうため、設計エンジニアは『GND電位のズレ幅』も考慮して回路設計しなければなりません。

それでは続いて、『なぜGND浮きが発生してしまうのか』解説していきます。
自動車における電子回路のGND
自動車には、多くの電子回路が搭載されています。
そのため、全ての回路から『電源バッテリーのマイナス端子』まで配線を引くことはできません。

全ての電子回路から電源バッテリーまで配線を引けば、凄まじいスペースを取りますからね。
そこで、『電源バッテリーのマイナス端子を車体のボディーと接続し、各電子回路のGNDをボディーに接続する』ことでGNDをまかなっているのです。
GND浮きの仕組み
ボディーは金属であるため、もちろん『抵抗成分』があります。
そのため、『ボディーから電源バッテリーのマイナス端子まで電流が流れる際に電圧降下が発生する』のです。

電圧降下が発生するということは、ボディーと『電源バッテリーのマイナス端子』は電位が異なりますね。
この電位差が『GND浮き』です。
車体ボディー間のGND浮き
『ボディー間でも電圧降下によって電位が異なる』ことに注意しなければなりません。
各電子回路のGNDが接続されているボディーは位置が異なるため、車体ボディー間のGND浮きも考慮する必要があります。
例えば、マイコンGNDとSW入力部GNDで考えてみましょう。
SW入力部GNDよりマイコンGNDの方が電源バッテリーに近い場合、電流が流れる経路は以下のようになります。
SW入力部GND → マイコンGND → 電源バッテリー
その場合、電位の高さは以下となります。
SW入力部GND > マイコンGND > 電源バッテリー

このように、回路によって『GNDの電位』が異なるのです。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
電子回路設計者にとって『GND浮きは必須の知識』です。
GND浮きの意味・仕組みをしっかりと理解しましょう。
\クランプ回路・ブートストラップ回路など/
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