
AW設計をする上で、パターンのインダクタンスを考慮する必要があるらしい。
パターンのインダクタンス計算式が知りたい。
こんな疑問を解消します。
銅箔パターンのインダクタンスは『厚み・幅・長さ』によって変化します。
その結果、『RLC回路』が生成されてリンギングが発生することもあるため、無視できません。
そこで今回は、『銅箔(パターン)のインダクタンス計算式』について解説していきます!
・ パターンのインダクタンス算出例
・ リンギング発生の可能性
・ パターンが長くなると抵抗値も増大
・ まとめ
パターンのインダクタンス計算式
銅箔パターンのインダクタンスは、下記の計算式(※近似式)により求めることができます。
【パターンのインダクタンス計算式】
\begin{eqnarray}
L[nH] = &0.2&・l・(ln\frac{2・l}{w+t} \\
\\
&+& 0.2235・\frac{w+t}{l}+0.5)
\end{eqnarray}
\(l \):パターン長さ
\(w \):パターン幅
\(t \):パターン厚み
上記公式とセットで、以下のことを覚えておきましょう。
・パターンが長いほど、インダクタンスは大きい
これだけ覚えておけば、とりあえずオッケーです。

具体的な数値を入れてみて、イメージしやすくしましょう。
パターンのインダクタンス算出例
上図の場合、銅箔パターンのインダクタンスは下記のように算出できます。
【パターンのインダクタンス算出例】
\begin{eqnarray}
L &=& 0.2・10・(ln\frac{2・10}{1+0.035} \\
\\
& & +0.2235・\frac{1+0.035}{10}+0.5) \\
\\
&=& 7.0[nH]
\end{eqnarray}
パターン長さ:\( 10 [mm] \)
パターン幅:\( 1 [mm] \)
パターン厚み:\( 35 [μm] \)

実際に計算してみると、インダクタンスの大きさに対するイメージが沸きますね。
パターンのインダクタンスが大きいとリンギングが発生する

パターンが長くなるとインダクタンスが大きくなることは理解できた。
けど、インダクタンスによって何が問題になるか分からない。

パターンのインダクタンスが大きいと、リンギングが発生する可能性があります。
リンギングとは、上図のような波形を指します。
リンギングが発生すると『電子回路でHi/Lo判定異常となる可能性がある』ため、注意が必要です。
リンギングの発生メカニズムである『RLC回路の過渡現象』については、以下の記事で紹介しているため、是非ご覧下さい。
関連記事 RLC直列回路の過渡現象について解説します!
パターンが長くなると抵抗値も大きくなる
パターンが長くなると、インダクタンスだけでなく『抵抗値』も大きくなります。
抵抗値が大きい場合、電流値によっては『無視できないレベルの電圧降下』が発生するため、こちらも要注意です。
関連記事 【プリント基板】銅箔の抵抗について解説します!
パターンのインダクタンス計算式まとめ
いかがでしたでしょうか。
回路設計者であれば、『銅箔パターンのインダクタンス』は必ず知っておくべき知識です。
銅箔パターンのインダクタンス計算式をしっかりと覚えておきましょう。
この記事が、皆様のお役に立てば幸いです。
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