
車のエアコンは、仕組みが単純らしい。
どんな仕組みなんだろう?
こんな疑問を解消します。
車のエアコンには、『温風も冷風も出すことができる』便利な機能があります。
しかし、どのような仕組みで動作しているか知っている人はあまりいません。
そこで今回は、『車のエアコンの仕組み』について解説します!
・ 気化熱
・ 車のエアコンの構成部品
・ 車のエアコンの仕組み
・ エアミックスドア
・ 除湿の仕組み
・ 冷媒の変化
・ まとめ
蒸気圧曲線
車のエアコンの仕組みを理解するため、まずは基礎知識となる『蒸気圧曲線』を知っておく必要があります。
上図の通り、『物質は同じ温度でも圧力によって液体か気体か異なる』のです。
高圧:気体よりも液体になりやすい
低圧:液体よりも気体になりやすい
イメージとしては、圧力が高くなると物質の体積が小さくなってしまうため、『体積が大きい気体』から『体積が小さい液体』になると覚えておきましょう。
気化熱
車のエアコンで冷風を作り出す基本原理は、『気化熱』です。
濡れているタオルを振り回すと、タオルが冷えますよね。
これは、タオルの水分が気体に変化する際に熱を奪っていくためです。

車のエアコンの冷風は、この気化熱によって作られています。
車のエアコンの主要構成部品
車のエアコンは主に、以下の6つの部品で構成されます。
この部品が未搭載の車のエアコンは、ほとんどありません。
コンプレッサ:気体を圧縮する
コンデンサ:気体を冷却して液化する
レシーバ:液化しきれなかった気体を再度コンデンサーに差し戻す
ドライヤ:コンプレッサから出る微細な不純物を取り除く
エクスパンションバルブ:液体を霧状にして噴射し、高圧から低圧にする
エバポレータ:冷気を蓄える

6つの部品の役割をしっかり頭に入れた上で、車のエアコンの仕組みに移りましょう。
車のエアコンの仕組み
① 『低温低圧のガス状冷媒』を、コンプレッサで圧縮して『高温高圧のガス状冷媒』にします。
② 『高温高圧のガス状冷媒』を、コンデンサファンで冷却して『低温高圧の液体冷媒』にします。
③ 『低温高圧の液体冷媒』にならなかった『低温高圧の気体冷媒』をレシーバでコンデンサに差し戻し、『低温高圧の液体冷媒』にします。さらに、コンプレッサから出た不純物をドライヤで取り除きます。
④ 『低温高圧の液体冷媒』を、エクスパンションバルブを通じて『低温低圧の霧状冷媒』にします。
⑤ 『低温低圧の霧状冷媒』を、エバポレータに通して『低温低圧のガス状冷媒』にします。この際に、気化熱としてエバポレータに冷気が蓄えられます。
⑥ エバポレータにブロワファンで風を当てることによって冷風を作り出します。
エアミックスドア
エバポレータとブロワファンで冷風を作り出すことが分かりました。
しかし、『温風』や『適温風』はさらにその後にある装置『エアミックスドア』で作り出すのです。
エアミックスドアについては、下記で解説しているため、ぜひご覧ください。
関連記事 【初心者向け】エアミックスドアの「役割」や「仕組み」を解説します!
除湿の仕組み
ブロワファンから送られる暖気が、エバポレータフィンに触れることにより、急激に冷やされます。
その結果、『暖気中の水蒸気』が『液体の水』へと変化します。

チューブ中の冷媒と外気は、エバポレータフィンを介して熱交換します。
冷媒の変化
車のエアコンの冷媒は、もともとはオゾン層破壊の原因となる『フロン』が使用されていました。
そのフロンの代わりとして、現在は『代替フロンHFC134a』が使用されています。
しかし、『代替フロンHFC134a』はGWP(地球温暖化係数)が1430(二酸化炭素の1430倍)と非常に高いです。
そのため、EUが2013年以降に発売する新型車に関しては、GWP150以上の冷媒使用を規制することを決めました。

そこで、新たな冷媒として『GWP1以下であるHFO-1234yf』が新型車に採用され始めたのです。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
自動車エンジニアにとって『車のエアコンの仕組みは必須の知識』です。
仕組みをしっかりと理解しましょう。
この記事が、皆様のお役に立てば幸いです。
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