
プリント基板を勉強していく中で「オーバーレジスト」というワードをよく耳にする。
どんな意味なんだろう?
こんな疑問を解消します。
近年、部品の超小型化が進んでおり、基板実装も難しくなってきています。
そんな超小型部品の実装で使用されている技術が『オーバーレジスト』です。
そこで今回は、AW設計を行う上で必須となるオーバーレジストの『仕組み』や『役割』について解説します!
・ オーバーレジストの役割
・ オーバーレジストのメリット
・ まとめ
オーバーレジストとは
オーバーレジストとは、ソルダレジスト開口に対して、ランドパターンを大きくする設計手法です。
それに対して、ノーマルレジスト(クリアランスレジスト)とは、ソルダレジスト開口に対して、ランドパターンを小さくする設計手法です。
イメージとしては、次のような仕組みとなっています。
【オーバーレジスト】
【ノーマルレジスト】
【レジスト設計の違い】
オーバーレジスト:ソルダレジスト開口<ランドパターン
ノーマルレジスト;ソルダレジスト開口>ランドパターン
『ソルダレジスト』について以下の記事で解説しているため、詳しく知りたい方はぜひご覧ください。
それでは続いて、オーバーレジストの役割について説明していきます。
オーバーレジストの役割
オーバーレジストの役割は、ランドパターンが基材から剥離するのを防止することです。
銅箔であるランドパターンと基材は接合強度が弱いですが、オーバーレジストによってランドパーンをレジストで覆うことにより、接合強度を高められます。
ただし、ランドパーンの面積が大きくなるため、ランドパターンのレイアウト可能領域が小さくなってしまいます。

配線可能領域が小さくなるデメリットがあるのです。
オーバーレジストのメリット
オーバーレジストのメリットは、以下の通りです。
【オーバーレジストのメリット】
① ランドパターンと基材の接合強度が大きくなる
② ランドパターン開口部が全て均一になる
③ パターン間のレジストが大きくなる
『ランドパターンと基材の接合強度が大きくなる』については説明したため、残り2つについて解説していきます。
ランドパターン開口部が全て均一になる
ランドパターンは別の個所のパターンと繋がっているため、一部のランドパターン開口部が形が異なってしまいます。
しかし、オーバーレジストの場合、ランドパターン開口部が全て均一になります。
【ノーマルレジスト】
【オーバーレジスト】
パターン間のレジストが大きくなる
オーバーレジストは、ノーマルレジストの場合よりもソルダレジストを多く添付するため、パターン間のレジストが大きくなります。
その結果、ランドパターン間の絶縁強度が高まります。

しかし、オーバーレジストはランドパターンを大きくするため、配線可能領域が小さくなるデメリットも忘れてはいけません。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
電子回路のAW設計・発注を行う方にとって『オーバーレジスト』は必須の知識です。
オーバーレジストの役割をしっかりと理解した上でAW設計・発注を進めていきましょう。
この記事が、皆様のお役に立てば幸いです。
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